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(3)シンガポール港
シンガポールでは、TRADE−NETと呼ばれる税関電算システムが稼働している。対象貨物としては海上貨物、航空貨物、及び陸送貨物のすべてをカバーしたものとなっている。対象業務としては通関部分に加えて貨物管理業務を行うことができるシステムとなっている。申告書類の提出については、関税無税の貨物はプリントアウトされた輸入許可書のみをTDB(通産省貿易開発局)に提出する義務が課せられている。書類の保管については7年間の保存義務が課せられている。シンガポールでは、ほとんどの申告が即時許可され、事後提出する書類も輸入許可書のみでよいことなどから実質的にぺーパーレス化が達成されているといえる。
また、PSAが運営しているシステムとして、コンテナ貨物の搬出入、蔵置、船積情報、積替手配、本船バース手配等、コンテナターミナル運営に関わる情報交換をリアルタイムに行うためPORTNET SYSTEMが稼働しており、船会社(代理店)、海貨業者、運送業者及び荷主等とオンラインで結んでいる。PSAはその他に、ヤード内のプランニングシステムやゲートシステムなどを持っCITOS(Computer Integrated Terminal Operations System)など多くのシステムを運用している。
(4)釜山港
釜山では早い段階から、混み合う船を円滑に処理するため積極的にコンピュータを導入している。これは、大量のコンテナをより早く効率的に捌くには、役所や関係者の間を結ぶ情報網をより広く、より緊密にする必要があるという考えから、86年には港湾管理をコンピュータで処理するネットワークを作りあげている。釜山海運港湾庁は95年よりEDIを導入しており、KL−NETとKT−NETが関係団体をリンクしている。96年には全国的なシステム作りが行われ、97年には全国ネットワークが開設される。EDIソフトも開発されているので、国内だけでなく海外の重要な港との情報交換も可能になる。このEDIにより本船が外国の港を出港した段階で釜山港の入港許可が取れるようになる。韓国では端末を持たない小さな船会社のためにネットワークを利用できる施設としてPORT−MISセンターを用意している。
韓国でも、かっては日本と同じように輸出入手続きに際し大量の書類が必要とされていた。しかし、コンピュータの導入で75種類の必要書類が20種類に減少し、紙代だけでも年間6億円(45億ウォン)の節約になったといわれている。

 

 

 

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